技能実習で介護の外国人受入れ

 政府は6月16日の「産業競争力会議」で、経済の再生に向けた新たな成長戦略の素案を提示し、介護の現場で働く人を確保するため、外国人の労働者を受入れる「技能実習制度」の拡大を、2015年度中に実施する方針を打ち出した。
 
 外国人の「技能実習制度」は現在、農業や漁業、建設など7分野68職種が対象。政府はここに介護を加え、深刻な人材不足の解消に繋げる考え。
 
 介護分野については、既存の経済連携協定(EPA)に基づく介護福祉士候補者の受入れ、及び検討が進められている介護福祉士資格を取得した留学生に就労を認めることとの関係について整理し、また、日本語要件等の質の担保等のサービス業特有の観点を踏まえつつ、年内を目途に検討し結論を得るとしている。
 
 このほか、技能等のレベルの高い外国人実習生に対しては、いったん帰国ののち、最大2年間の実習を認め、滞在期間を最長で5年(現行3年)に延長することや、優良企業には受入れ人数の上限を引き上げることも盛り込まれている。

 新たな成長戦略は、「国民の『健康寿命』の延伸」をテーマの一つに掲げ、医療・介護分野をどう成長市場に変え、質の高いサービスを提供するか、を課題として、▽複数の医療法人や社会福祉法人を一体的に経営できる仕組みとして、「非営利ホールディングカンパニー型法人制度(仮称)」の創設▽医療法人の分割や附帯業務の拡充などの医療法人制度の規制の見直し▽介護サービスの質の評価に向けた仕組みづくり(本年度末までに検討し、結果を公表)▽来年度に予定されている市町村事業計画の策定に向け、地域の実情に即した計画策定が行えるよう統計データ等を比較・分析できる仕組みを構築▽大都市圏の高齢者数の急増に伴う医療・介護需要の増大に対する都市型モデルを構築するための検討▽個人に対する健康・予防インセンティブ(ヘルスケアポイント付与や現金給付を可能にする)の付与(来年度中に所要の措置)▽混合診療(保険外併用療養費制度)の拡大に向けて新たな制度を創設すること――などが盛り込まれた。


成長戦略素案(介護・医療分野)
・健康状態を維持している個人への健康・予防インセンティブの付与
・外国人技能実習制度の対象職種の介護分野への拡大、期間や受入れ枠の見直し
・介護サービスの質の評価に向けた仕組みづくり(本年度末までに検討し、結果を公表)
・居住系介護施設待機者の解消に向けた適切な介護サービス提供体制の構築
・大都市圏の高齢化に伴う医療・介護需要への対応
・混合診療である「保険外併用療養費制度」の大幅拡大
・介護・医療サービスを提供する複数の法人を統括して一体的に運営することが可能な「非営利ホールディングカンパニー型法人制度(仮称)」の創設

■情報提供元:シルバー産業新聞