伊藤園など、緑茶抹の摂取により高齢者の認知機能低下が改善される可能性を確認


株式会社伊藤園(社長:本庄大介、本社:東京都渋谷区)の中央研究所は、静岡県立大学薬学部の山田浩教授と社会福祉法人白十字会・白十字ホームの田熊規方医師との共同研究で、認知機能が低下気味の高齢者において、緑茶抹の摂取により認知機能が改善される可能性を、人を対象とした臨床試験で確認した。

カテキンやテアニンなどの緑茶成分には神経保護作用があることがいくつもの基礎研究で示されており、緑茶をよく飲む人ほど、認知機能の低下が少ないという疫学調査の結果が報告されている。また同社はテアニンを多く含む緑茶抹を1年間継続的に摂取することにより、高齢者の認知機能低下が抑制される可能性を、大学との共同研究により確認・発表している。

今回は認知機能が低下気味の高齢者に緑茶抹を3ヶ月間摂取してもらうことにより、認知機能が改善する傾向を観察した。

【研究内容】
本人または家族から文書同意を得られた老人ホーム入居中の方で、認知機能検査(ミニメンタルステート検査)の点数が27点以下の高齢者(平均年齢88歳、男性2名、女性10名)に対して、緑茶抹を1日2g(総カテキン量約227mg)、3ヶ月間摂取してもらった。緑茶抹の摂取を開始する前と、3ヶ月摂取後に認知機能検査を行い、血圧、血清脂質、耐糖能異常などの動脈硬化指標、および血中カテキン濃度を測定した。

【結果】
3ヶ月間、緑茶抹を摂取していただいた12名の内訳は、血管性認知症8名、アルツハイマー病3名、レビー小体型認知症1名で、認知機能検査(ミニメンタルステート検査)の点数の平均値±標準偏差(範囲)は、15.3±7.7点(5点~27点)だった。
3ヶ月間摂取後に同じ検査を実施すると、点数は17.0±8.2点と有意に増加し、下記の図表に示すように12名中8名の方で改善が見られた。
この傾向は、検査の点数が10点以下、11~23点、24~27点のいずれのグループでも認められた。さらに検査のうち、近時記憶を評価する項目で、特に顕著な改善が見られました。

今回の結果は、近時記憶の低下が認知症の初期症状であるため、緑茶抹の摂取が認知症の進行を抑制する可能性を示唆していると思われる。同社では今後もより長期間に渡る研究を行い、さらなる可能性を求めていくとしている。